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2009年4月 1日 (水)

「もしあるタイプの小説を読むことに耐えられないのなら」

私が書き始めた頃、一般に新人作家にとって最適で、
もっとも受け容れられやすい市場は
“告白”雑誌だと見なされていた。
原稿料も高かった。

(中略)何度か告白雑誌を買うか借りるかして、
最後まで読み通そうとした。が、できなかった。
あれだけ読んだうちのただのひとつも、
すっ飛ばさずには読めなかった。
読んでいるものに集中できなかった。
表表紙から裏表紙まで、雑誌全体が
魂を腐らせるゴミでしかないという
確信を振り払えなかった。

(中略)告白ものはだめだと思っていたら、
ある週末、締め切りが迫っていて
早急に穴を埋めなければならない出版社のために
三篇書くことになった。
三篇とも出来はひどかった。
私は仕事を与えられたから書いただけ、
出版社はそうせざるを得なかったから出版しただけ。
これほどつらい原稿料はなかった。

ほかの分野で似たような経験をした書き手が
何人もいるのを知っている。
教訓はしごく単純だ。
もしあるタイプの小説を読むことに耐えられないのなら、
それを書こうとするのは時間の無駄である。

ローレンス・ブロック『ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門』(田口俊樹/加賀山卓朗訳・原書房)p.26-27

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