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2009年7月26日 (日)

正気を保つことによってこそ

奇妙なことに、時報が彼に新たな勇気を注入したようだった。
自分は誰も耳を貸そうとしない真実を声に出す孤独な幻。
しかし声を出している限り、
何らかの人目につかない方法によってでも、
真実の継続性は保たれる。

他人に聞いてもらうことではなく、
正気を保つことによってこそ、
人類の遺産は継承されるのだ。

彼はテーブルに戻り、
ペン先をインクに浸し、
書いた――

ジョージ・オーウェル『一九八四年』(高橋和久訳・早川書房)p.45

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