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2010年2月21日 (日)

美しいものの観想が心に生み出す満足感

…しかし私自身としては美という言葉によって、
物体に備わっていて我々に愛もしくはそれに似た種類の
情念を生み出す一つもしくはそれ以上の性質
である
と定義する。

(中略)同じ趣旨にもとづいて私は愛という言葉
(これによって私が意味するものは、その本性が
何であるかを問わずすべて美しいものの観想が
心に生み出す満足感のことである)
を、欲望ないし色欲と区別する。

欲望は我々を駆って或る対象の占有へと向かわせる
心の活動力であって、それは決して対象が
美しいという理由で我々を刺激するのではなく、
それとは全く別の原因からである。

我々が特別美しくもない女性に対して
強い欲望を感ずることもあろうし、
その反面で同性たる男性もしくは他の動物に
備わる美に対して愛を感じはするが
些かも欲望を感じない場合もあろう。

この事実は美それ自体ないし美が生み出す
愛と呼ばれる情念が、たとえ時折は欲望と平行して
作用することがあっても
決して欲望と同じものではないことを立証する。

エドマンド・バーク『崇高と美の観念の起源』/第三編/一 美について(『エドマンド・バーク著作集1』中野好之訳・みすず書房p.99~100)

同内容の『崇高と美の観念の起源』単行本は現在絶版ですが、
下記サイトにて二月末まで、2010年復刊リクエスト投票を受付中です。
ご興味のある方はぜひどうぞ!(私は勢いで投票してしまいました(笑))

→書物復権2010年8社共同復刊
(投票については下のほうの「実施要綱」をご覧ください。
『崇高と美の観念の起源』は復刊候補リスト&リクエストフォームのNO.36です)

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2010年2月14日 (日)

「おお、フランケンシュタイン!」

※Spoiler Alert
小説『フランケンシュタイン』ストーリーの後半部を
推測できる台詞を含んでおります。

相手は止まって、驚いたようにぼくを見ました。
それからまた創り主の息絶えたからだに目をやると、
ぼくのことなど忘れたように、顔つきもしぐさも、
何か抑えのきかない激情に揺り動かされた様子でした。

「これもまたわが犠牲!」
と彼は叫びました。

「彼を殺しておれの罪は完成された。
このみじめな生もやっと終わりにたどりついたのだ!
おお、フランケンシュタイン!寛容と献身の人よ!

今さら赦しを請うて何になる?
自分がしたのはとりかえしもつかぬこと、
おまえの愛する者すべてを滅ぼして
おまえを滅ぼすことだったのだ。

ああ、もう冷たい。答えてはくれない」

メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』(森下弓子訳・創元推理文庫p.291)

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2010年2月 4日 (木)

…資質の最上のものが表にあらわれるため

セイラはニールが会った女性のなかで、
態度が少しも変わらないはじめての相手だった。

ニールの足をはじめて見たとき、表情は少しも変わらず、
哀れみや恐怖や驚きすら示さなかった。
その理由だけでも、ニールが彼女に夢中になるのは予想できたことだった。

セイラの人となりのあらゆる側面を目にするころには、
ニールは彼女にぞっこんになっていた。

そして、セイラといっしょにいると、
ニールの資質の最上のものが表にあらわれるため、
彼女もニールに恋した。

テッド・チャン『地獄とは神の不在なり』(『あなたの人生の物語』浅倉久志・他訳・早川書房 p.399)

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